top of page
検索

~訪問看護における麻薬管理と多職種の連携の最前線~

1)自宅における疼痛治療薬の服薬記録

       ①服薬記録表などの使用は、服用薬の管理や服薬コンプライアンス・アドヒアランスの向上及び副作用に対してご活用者様や家族自身で対応を要する際に有用である。

  ②服薬記録表には、定期的な服用薬、レスキュー・ドーズ、その他の鎮痛薬や副作用に対する薬、痛みの程度、副作用症状(悪心、眠気、便の性状など)、食欲、その他の症状について記載してもらう。

  ➂外来診察時や往診時など、服薬記録表を医療従事者に提示してもらうことは治療上有用である。


2)自宅での麻薬保管の留意点


  ①他人に転用しないこと。誤って他人が服用してしまった場合は速やかに医師・看護師・薬剤師に連絡するよう伝えておく。

  ②小児やペットの手が届かない場所に保管すること。特に使用済みの貼付剤は家庭内のごみ箱等でなく別に回収用の袋等を準備して入れておいてもらうよう指導する。

  ③使用しなかった麻薬の返却について、交付を受けた麻薬診療施設(医療機関)または麻薬小売業者(保険調剤薬局)に持参するよう指導する。在宅医療では、関係者間の情報の共有と十分な連携が重要である。 


3)弊社で麻薬管理を行うこととなった場合

  弊社では、原則として麻薬の管理は在宅で行います。ただし、諸事情でやむを得ない場合に訪問看護ステーションの店舗で麻薬を管理・取り扱う場合があります。その際は、麻薬及び向精神薬取締法に基づき、非常に厳格な管理が求められます。以下に、訪問看護ステーションで麻薬を管理する際の主なポイントを説明します。


 基本的な前提

訪問看護ステーションが麻薬を管理・使用するには:

  • 医療機関の指示に基づき訪問看護を行うこと

  • 麻薬施用者(医師、歯科医師等)の指示による使用であること

  • 適切な管理責任者を定め、管理体制を整備していること

管理体制の整備

  1. 【麻薬管理者の設置】

    • ステーション内で麻薬を保管・使用する場合は、「麻薬管理者(看護師など)」を任命し、責任を明確化する。

    • 麻薬取扱者免許は不要(訪問看護師自身は取扱者とはならない)が、医師の処方・指示に基づく取り扱いであることが絶対条件。

  2. 【保管方法】

    • 施錠可能な堅牢な麻薬金庫に保管。

    • 一般薬剤とは明確に区分する。

    • 金庫の鍵は管理者が一元管理。

  3. 【記録の作成と保存】

    • 麻薬管理簿(出納帳)を作成し、使用・受け渡し・廃棄の都度、詳細に記録。

    • 5年間の保管義務あり。

  4. 【在庫確認】

    • 定期的(例:毎日や週1)に在庫を確認し、帳簿と照合。

    • 異常があった場合は速やかに報告・調査。

 教育と監査

  全スタッフに対して、麻薬の取り扱いに関する教育を実施する。内部監査や定期点検を行い、適正な管理体制が維持されているか確認する。


 トラブル時の対応

  紛失・盗難があった場合は、直ちに保健所・警察へ届け出をする。

  記録の不備などがあった場合も、速やかに是正する。


4)保険薬局によるご活用者様・ご家族様の支援


 在宅及び外来治療共に保険薬局(以下「薬局」)において医療用麻薬が交付される場合がほとんどである。ご活用者様と薬剤とに最も近い場所にいるのが薬局の薬剤師であり、服薬支援への積極的な参画は疼痛管理と医療用麻薬の適正な使用に有用となる。


 ① 疼痛管理に伴う医療用麻薬の処方に際し、処方内容の鑑査を行い、用法用量や副作用対策をご活用者様・ご家族様と共に確認し、服薬のための理解を助ける。

 ② 特に服用開始時期や増量の際には、交付時だけの服薬指導だけでなく電話等により服用状況、効果や副作用のモニタリングを行い、より安全に服用できるよう配慮する。

 ③ ご活用者様の日常生活、嚥下状態、身体状態などのモニタリングを行い、薬剤特性と総合的に勘案し処方医と連携してより適切な投与方法や製剤の選択、処方設計を行う。

 ④ 麻薬小売業者免許を有していて無菌調剤室あるいはクリーンベンチを備えている薬局では医療用麻薬の注射剤を調製して携帯型ディスポーザブルポンプ等に充填して交付することができる。また、これらの設備を有していない薬局でも、プレフィルドシリンジ製剤を交付することができる。

 ⑤ 使用済みあるいは不要となった医療用麻薬はご活用者様・ご家族様に適切に助言し、可能な限り回収又は廃棄することが望ましい。

 ⑥ 医療用麻薬を家族、友人等へ譲り渡すことは、医学的に危険であるばかりでなく、譲り渡した患者自身が「麻薬及び向精神薬取締法」に違反することになるので、絶対にしないように十分に指導する。

 ⑦ 在宅医療の場においては、医師や看護師、介護者とも密に 連携し、これらの支援がより的確なものとなるよう努める。


ree


 
 
 

コメント


bottom of page