社員の声、第14弾は千鳥鵜の木店で働く、新卒の今村看護師にお話を伺いました。
初めての職場に訪問看護ステーションに選んだ理由とこれからの展望について聞いています。

訪問看護を目指したきっかけを教えてください。

私が「訪問看護がしたい」と思ったのは、父親が訪問看護を受けていたことがきっかけです。少しですがその経緯をお話します。

私の父はいわゆる高齢者でした。仕事人間だった父がリタイヤをして大分日も経ち、家でのんびりと過ごす日々が続いていました。年相応の体力でしたが、転倒することもたまにあり段々足腰が弱っている印象がありました。

ある夏、父のちょっとした風邪が長引き、2週間ほど寝たきりの状態が続きました。父は驚くほど筋力が落ちて立つこともままならなくなり、日課であった散歩もできなくなってしまいました。

そこからは自然とベッドで過ごす毎日になり、ベッドからトイレに移動しようとするも、途中でへたり込んでしまっていることがしばしばでした。失禁回数も増え、もともとあった認知症も悪化し徘徊が始まったりと、てんやわんやの毎日がここから始まりました。
そのような状況で通院も難しくなり、訪問診療、訪問看護が導入されるようになったのです。

薬は家に届けてくれる、病院に行かないでも診療に来てくれる、看護師さんも父の体調を見に来てくれるという地域のサポート体制にどれだけ助けられたかわかりません。しかし、一方で問題も残っていました。

父の介護者である私達家族は、オムツの適切な選び方も尿取りパッドの存在も知らず、体位変換の仕方もわからず、毎日全てが手探りの状態でした。要領を得ない介護は私達だけでなく、父にも心身ともに負担をかけることとなり、家族全体がどんどん疲弊していっていたように思います。失禁のたびにパジャマもシーツも汚れ、洋服を総取り替えする騒ぎで洗濯機を1日3回まわすことも度々でした。ヘルパーの方に入ってもらった方が良いのでは、とケアマネージャーさんから提案もありましたが、家族以外の人が家に入ってくることにどうしても抵抗がありお断りをしていました。
 
そのような中、訪問入浴が始まりスタッフの方のおむつ交換や体位変換の方法を見ていた母が技を盗んで私に伝えてくれ、そこから少しずつ介護の要領を得られるようになりました。実情としては、なんとか自分たちで介護負担軽減を図っていた状態でした。

せっかく地域医療の羽の下に入ることができたのに、介護状況はあまり変わってはいませんでした。それは介護者の立場から考えると、周りにうまく頼れなかったことに大きな原因があったように思います。
家の中のことの為、自分達でやっていかないといけないんだという思い込みがあったり、なにかお困りのことは無いですか?と聞かれても日々の介護の疲労で頭も回らない、悩みや困り事が思い出せないといった状況からすぐには相談できていなかったり、他に良い方法があるとは思ってもみなかったりで、大丈夫ですとお答えせざるを得ない状況でした。
 
ここまでお読みいただいてお気づきになったかもしれませんが、私は自分の負担のことで精一杯で、父が何を求めているか、父にとって何が日々の楽しみになるのか、という父の目線に立った介護や看護が一切できておりませんでした。それは父が亡くなってからようやく気付いたことです。今となってはもう手遅れなのですが、車椅子を買ってベランダの花を一緒に見たり、船が好きだった父と一緒に船の模型を作ったり、便秘で苦しんでいたお腹のマッサージをしたり、父の食事をもっと考えたり、色々できることはあったのではないかと思う日々です。取り返しの付かない時間を思うと、この後悔の気持ちは自分が行きている限り続くと思います。

余裕のない家族の様子は、人によく気を使う父にとってとても心苦しいものだったと思います。そんな思いをご活用者様やご家族にして頂きたくない!その気持ちが訪問看護を目指した原点となっています。

その経験を踏まえて、これから目指す方向性など教えてください

父が亡くなってから早4年半。今は看護師として走り出し、日々先輩方の同行についたり、自身で訪問看護に回っています。ご活用者様の生活空間を見回すと、その方の思いの片鱗を感じ取れるような気がします。この方は普段どんな環境にいて、どんな物を食べて、どんな人達に囲まれているのか、またどんな習慣があるのか、そのような一つ一つのことが、メッセージとして生活空間から伝わってくるようです。それを感じると、今までどう生きてこられたかに自然と思いが及び、なんとも温かいような不思議な気持ちになります。

病院では大人しく顔色も良くなかった方が、家に帰ってきたことで急に元気になり食欲も回復し、表情も明るくなったという話をよく聞きます。「病」は「気」から、と言いますから家はその人の「気」に大きなパワーをくれる特効薬なのかもしれません。
 
療養環境としては、もちろん在宅が全てではありません。ご活用者様の思い、病状、サポート環境、ご家族の思いなど様々な要因で、生活される場所をフレキシブルに考える必要性があります。しかし、家がご活用者様にとってベストな選択である場合には、私達がいるから安心して家に戻ってきてください!と言いたい。また、胸を張ってそれを言えるような地域看護師でありたい。今はその為に日々、目の前のことに誠実に向きあい学びたいと思っております。

初心忘るべからずです。

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